現代総有研究所開設式 

 

 
これまでの土地総有、現代総有に関する研究、国際交流等の実績に基づいて「現代総有研究所」を設けるにあたり、開設式を執り行いました。
                             
■日時 平成30(2018)年7 月15 日(日)
    17:00 ~ 19:00
■場所 法政大学大学院棟(市ヶ谷)601 教室
    住所:東京都新宿区市谷田町2-15-2
次第
 1、 司会
 2、 現代総有研究所設立宣言
 3、 現代総有研究所の案内
 4、 不明土地法等都市法改正の状況と課題
 5、 懇談
 

 

所長 五十嵐敬喜挨拶

 

なぜ、現代総有研究所を開設したか?
 
第一 総有研究の個人史 
 1 富士山米軍演習場に反対する忍草の会 天野重知代表から「入会権」を知る。
 沖縄県久高島で神の国(イザイホ~とノロ及び総有条例)を学ぶ。
 高野山。大学で真言宗、奥の院で宗教民俗学を、町民から高野山総有を教えられる。
 博士論文の審査で祇園など「都市の総有」を知る。
 東日本大震災に遭遇し、不明土地、新しい住まいの構築などから、人々の協働の必要性を痛感。
 白樺湖で財産区の実態に触れ、新しい思想と実践の必要性。
 都市計画、現代総有論序説、現代総有論の執筆や国際研究・交流に発展する。
 
2 現時点で、想像以上に、法学分野だけでなく経済学、哲学、建築・都市計画、社会学などなどの分野から大きな反響がある。
第二 その背景
 1 何よりも日常生活の中に
引きこもり、孤独死、無縁社会 個的な病気が蔓延しはじめたことたこと
少子・高齢化の中、全国で空地、空室が発生し、とどまることを知らない
消滅自治体などがリアルになった
  さらに、日本政治が堕落し、将来への希望が見えなくなっていること
 2 大学退職後、一人で継続と思ったが、需要にこたえるためには現代総有を社会化する必要がある。
 
第三 現代総有研究の論点
 1 「個化」は日本の近代主義と深く結びついている。
政治 国 、自治体、国民という縦の構造
経済 市場という匿名の個の集合
社会 情報化(スマホ) すべて個人の空間で処理できる
哲学 人間中心主義。自然と人間、人間と神、人間と人間の関係の切断
 これらの思想や実務の進化の過程で
全体として、便利、機能、経済が圧倒的価値を持つようになる
それと同時に、人間そのもの、親子、家族、親戚、地域、あるいは愛(恋愛、郷土愛など)、文化(祝祭、儀礼)などが喪失し、個化(無関心・無責任、他人任せ)が発生。
 
現代総有はまず人々を「横につなぐ」ことから始める。
 
第三 現代総有の課題
1 土地の総有 空地・空室の増大、地域や団地の崩壊に対して、土地所有権をいったん眠らせ土地(地域資源)を共同利用する(民法の古典的な総有理解)。
  空間の総有。集合住宅の内部、集合住宅と地域、地域内部での共有部分を拡大化していく。これは急速な法改正が望まれる。
  心の総有 人々の親切心(御接待)、NPOによる援助、信仰などによる救済。これを進化させ拡大していく必要がある。
2 必要性が現代総有を生み出し、成熟させていく。
  可能なところから。
3 成果の点検と可視化
  スピード。
  現地を中心(主体)に専門家、企業、マスコミ、自治体・国の力を集中させること。
4 疎外物の除去と新しいルールの開拓
  総有主体(組合)法
  都市法や税、補助金などの改正
  自治体の再構築
 など
 
 現代総有研究所をそれら遂行のための一つの「拠点」としたい。
 

 

 
 

 
事務局長 野口和雄より説明

 
 
 

 
 
アルタイル法律事務所様からご祝辞をいただきました。
 
 
現代総有研究所のご設立、おめでとうございます。
現代総有論は、法学分野では「所有権の革命」であり、
法学分野だけでなく、個々人がばらばらに切断されている日本社会を治癒する
大きなスケール感をもつ思想、理論です。
その適用範囲は日本社会全体に及ぶものであり、現代の日本社会における空地、
空室の問題や地域社会消失の危険、文化遺産消滅の危機といった
種々の病を治療し、分断された日本社会を再統合する新しい思想です。
私たち法律専門家も、これに賛同し、支援し、共闘するものです。
 
現代総有論と現代総有研究所の今後のますますの
ご発展をお祈りするとともに、活動をご一緒でき
ることを楽しみにしております。
 
弁護士法人アルタイル法律事務所
所員一同